詩⑥
「この世の嫌なこと全部何かの陰謀なのよ」
そう先輩は言った
そんな妄言を信じることができれば
どれだけ生きるのが楽だっただろうか
不合理だらけのこの世界
不条理にやられてもう限界
気づけば大人になって
自分に何も無いことに気がついた
ガキの頃は無敵で
天才だったあの頃に戻りたくて
知らない駅のホームに間違えて降りてしまう
そんな人生です
麦わら帽子にワンピース
手を振るあの子は架空の夏
踏み切り越しに薄ら明かり
缶のココアを飲んだのは真実の冬
6畳半のワンルーム
少し錆びたテレキャスター
何も無い僕はそれをとる
Eのコードを鳴らせば
そこはステージさ
ああ、どこにも行けない僕らはここにいる
ああ、どこへ行ったのか彼女は分からない
ガキの頃は無知で
今は誰もが無視で
「全てが陰謀だから」
そう今でもあの人が囁く
でも歩くしかない現実は
いつか遠い記憶