柏原さんの日常

おるたなてぃぶな生活を

小説

Girl in Utero

退廃的ってなんだよ。都会的ってなんだよ。耽美ってなんだよ。私はそういったものがだいっ嫌いで仕方がない。そういうにひたって、そういうのを崇拝しているやつらを見ると吐き気がしてならない。私が住んでる田舎の街にも、一定数そういうやつはいる。むし…

不死身のガールフレンド

「私、死ねなくなっちゃった」 夕暮れ時の帰り道で久しぶりに会った彼女はそう言った。 僕は学校から帰る途中だった。でも何だかすぐ家に帰るのはもったいなく感じて、でも何か用事がある訳でもないから、手持ち無沙汰な感覚で駅の周辺を散歩していたところ…

ライフル・ライフ

【1】 私にはライフルしかなかったし、血と硝煙の匂いだけが私を満たしてくれた。 私の国N共和国は隣国のS帝国ともう2年近く戦争をしている。そして最前線の西部戦線に配属されてから3ヶ月以上が経っている。 私の住んでる国、N共和国は自由と平等を近隣諸…

自己満物語その1

「カンジくん、今日も図書室に来ちゃったのね」 「それは沙織さんも同じじゃないですか」 僕がそう返すと、沙織さんはふふっと笑みをもらしながら 「もしかして私に会いたくて来てるんじゃないのかしら」と悪戯っぽく言うのだった。 僕は核心を突かれたこと…

屋上から賛美歌を

⒈ある少年の証言はい。そうです。その日曜日の午後1時頃のことであっています。僕が"それ"を見たのはサークルの練習があってキャンパスに向かっていたんです。駅の改札を出たあたりで何やらいつもと違う雰囲気を感じました。なんせうちのキャンパスは駅の近…

祈りとノベルと廻るセカイ

【1】 「常に作家であれ」 このことを忘れずに生きている。別に僕は何か本を出しているわけでも、絵を描いているわけでもない。まともに弾ける楽器だってないし、おまけに字も下手。だけど、僕は作家であろうと肝に銘じて生きている。 人は誰しも物語を持っ…