柏原さんの日常

おるたなてぃぶな生活を

詩⑧

1999 年に世界が終わりました。
それはとてもゆるやかに、かろやかに、
そしてやさしく


みんなそれに気づかないまま
ゆるやかに、かろやかに生きている
よく澄んだ10 月に夏が終わりました
それはとてもしぶとく、あざとく、
そしてあっさりと
キンモクセイのかおりが私の奥を
削り取っていく


なんでみんな笑っているの?
なんでそんなに平気なの?
なんでみんな気づかないの?
なんで、なんでと繰り返すうち
私は遠い果ての国
あるいは氷の上の墓標
明るく笑う女の子
頬を少し赤らめて
光の先へ、幸福と
行かないで
往かないで
逝かないで


残響が浸透する
明日はもうない
縋る過去の愛
酔いしれた哀
私が染まったのは藍
彼方にいるあなたへ……