ヒトリエというバンドについて
今更ですが、wowakaとヒトリエについて綴ります。
僕にとってwowakaはボカロPと言うよりも、ヒトリエのフロントマンの印象が強いです。リアルタイムで「ワールズエンド・ダンスホール」や「裏表ラバーズ」などのwowaka作のボーカロイド曲は聴いていましたが、実のところ現実逃避Pとwowakaが同一人物だと知ったのは割と最近でしたので。
ヒトリエというバンドを知り、聴くようになったのは高校のとき、バンドメンバーに勧められてからです。確か『DEEPER』が発売する前、「ワンミーツハー」のMVが公開される前だったと思います。
当時の僕は流行りの邦ロックを斜めに見ていた節があり、全く流行りの曲を聴いてませんでした。(当時はイキりちらかしていたので「四つ打ちwww」とか調子づいていましたが、実は隠れてその手の邦ロックをノリノリで聴いてました笑)
ですが、ヒトリエだけは好きでしょっちゅう聴いてました。高校時代思い出のバンドの一つといっても過言ではありません。
大学に入ってからもよく聴いていましたし、新しい音源やアルバムはいつかいつかと待ち焦がれていました。
そして2019年の2月の終わりに『HOWLS』というアルバムが公開されました。
ワクワクしながらすぐに聴くと、その衝撃は想定していた以上のものでした。間違いなくヒトリエ史上最高のアルバム、いやテン年代を代表する作品にあげても差し支えないほどのものだと確信しました。平成の終わりにこんな凄いものを聴けるなんて!と久しぶりにキッズの気持ちでリピートし続けました。
それこそNUMBER GIRLやNIRVANAを初めて聴いたときみたいに。ただその二つのバンドとは違った、リピートするたびに心から身体に染み渡るようなノスタルジーとカタルシスがある素敵な作品だと思ってます。
3月中はひたすら『HOWLS』を聴き続けていました。しかし、3月の僕は抑うつが酷くなっていった時期でした。まだ病気という自覚もなく、日々増していく漠然とした不安に呑まれ、辛く苦しい毎日でした。今思うと、そのとき『HOWLS』は、そしてヒトリエは僕にとって、救い、あるいは落ちるところまで落とさないためのストッパーになっていたのかもしれません。結局4月に自殺をしようと決意するにいたるのですが、『HOWLS』がなかったらもう少し違った結末になっていたかもしれないですね。
『HOWLS』を聴いてから、これからのヒトリエがどうなっていくのかが大きな楽しみになっていました。次は一体どんな作品を聴かせてくれるんだろう!と苦しい日々の中で数少ない希望になっていました。
前述の通り、僕は4月に入ってすぐに自殺未遂みたいなことを起こしました。自殺を諦めてからは死ぬ気もなくなって、落ち込んだ生活がまた始まりかけていました。そんなときに知ったのがwowakaの訃報です。
安易な言葉ですが、ショックでした。大きなショックでした。これからのヒトリエに期待してた分、僕の希望の一部だった分、僕の心は酷く揺らぎました。さすがにwowakaの死へのショックからまた自殺を図るなんてことはしませんでしたが、数日間はひたすら憂鬱な日々を過ごしました。
それから僕は通院し始めて、少しずつではありますが回復してきて、今一度『HOWLS』を聴いてみると、やっぱり名盤だなあって素直に思えます。ほかのヒトリエの作品も最近よく聴きます。 やっぱりwowakaは凄いなあ。
追悼ライブには行きませんでしたが、先日動画サイトでその一部を観ました。僕はwowakaの訃報を聴いてからヒトリエが解散するのではないかと不安で仕方なかったのですが、それも杞憂でしたね。やっぱり続けるみたいです。純粋に嬉しい。
このヒトリエの活動継続に対して色んな意見があると思います。僕はおそらくこれからもヒトリエを聴き続けると思います。新譜まだかなとワクワクしながら。
フロントマンを失ったバンドが上手く活動を続けていくのは至難の業なのでしょう。けれど僕はシノダとイガラシとゆーまおを信じています。wowaka無き令和の時代にも、素敵な作品を世に送り出してくれると信じています。
実は僕はヒトリエやwowakaを知る前にシノダのソロプロジェクトを聴いていました。東方アレンジを調べていると、シノダが衝動的の人、cakebox名義で東方アレンジを投稿してたのを元々知っていて好んで聴いていました。東方アレンジの方も好きですが、何よりオリジナルの曲が好きで高校のとき聴いてました。
そのなかでも特に「ほら、ごらんプレデター」という、バンドメンバーに勧められた曲は高校時代思い出の1曲です。田舎の誰もいない帰りの電車で、窓の風景を眺めながら聴いて、よく感傷に浸っていたものです笑
ほら、ごらんプレデター (cakebox ) - YouTube
今後ヒトリエの楽曲はシノダ中心に制作していくような気がします。僕はwowakaの作る曲を信じていましたが、今僕はシノダを信じています。勝手に、一人のファンとして信じています。だってcakebox時代の曲や、『HOWLS』に収録されてる「青」という曲のリードギターのサウンドを聴いたら、信じてしまうに決まってるじゃないですか。
ヒトリエ 『青』 / HITORIE - Ao - YouTube
こんなダーティなのに美しくてノスタルジックで、衝動的で、心の臓まで突き刺さる音を奏でるシノダは僕の憧れのギタリストのひとりです。
ジャズマスターを掻き鳴らすギタリスト、僕が大好きなギタリスト。それでいてバンドマンとしても作曲家としても好きなシノダ。
そして技巧もありながら丁寧にコード感のある気持ちの良い絡みをするベーシストのイガラシ、手数の多さとキメの鋭さを持ちながら、バンドを安定して支えるドラムのゆーまお。
「ヒトリエ」は決してwowakaという天才ひとりで成り立つワンマンバンドなんかじゃない。
僕はwowaka無き「ヒトリエ」も「ヒトリエ」として憧れ、信じながら聴き続けていくのでしょう。
時間かかっても、作風が変わろうともまた「ヒトリエ」が聴ける時を待ち続けます…。