詩②
街宣車、思想家たちは祭囃子
雑踏に叫ぶ、彼らの愛。それもまた雑踏に変わる
ローファー、サンダル、スニーカー。普遍になってアンサンブル
絶対がないことを知ってる人はどれほどいるんだろう
思想家、それでも叫ぶ。彼らの愛
流動する都市、激情さえ無知、並行した是非
誰もが浮遊する球体の中を泳いでいる
あぁ、まただ。また呼ばれている
歩道橋の上、すれ違う度に、ノイズ
スローモーション、魚だ!ここは水槽!
思想家が叫ぶ。ノイズの海に。
彼らも魚、革命家の夢をみるだけ
あぁ、終末だ。今日も。
水槽に紫陽花の血液が流れ込む
祭囃子もオーケストラも呑んだ
ふいに静寂、ここは夏
張りついたシャツに煩悩、拭えない
こんなもんだ、革命家はいやしない
老婆が階段を降りる
思想家、それでも叫ぶ
形にならない愛を、正義を
侮蔑の目を向ける僕
魚群に背を向けて
今日もまた善人ごっこ