柏原さんの日常

おるたなてぃぶな生活を

詩①

 鉄くずで作られた空想のうえを、歩く

 ぽつり、ぽつりと、こぼれ落ちる記号を

 集めて、積み重ねて、そしてまた崩す

 繰り返し、繰り返す

 ぐるぐるまわる洗濯機のような

 生活

 歪みが、ひとつ、またひとつ

 増えていくたび、忘れる

 錆び付いた写真、壊れた玩具

 

 どこにいるの? 

 なにをしてるの?

 どこまでいけるの?

 

 答えられるわけがない

 だから、探る

 今日もこぼす、記号を

 あるはずのない、希望も

 今日も歩く、この空想のうえを

 

 幾何学、デジタル、アルゴリズムの中で

 言葉を吐き出す

 可能性を事実にしたくて

 札束の山に火をつけるように

 あるいは屋上から飛び降りるペンギンのように

 境界線を探す

 

 世界の中に私はいない

 思考の限界、世界の限界

 

 決まりきったようで曖昧な空想のうえで

 感情を電気信号にかえて

 こぼす

 今日も

 有り得ることの証明に

 落とす

 

 無意味で

 無慈悲な

 生活の果てで