柏原さんの日常

おるたなてぃぶな生活を

150円の関係性

僕は何かを貸し借りするのが好きだ。もちろん安上がりだという理由もあるけれど、賃借している相手との関係がはっきり存在しているのが嬉しい。貸主と借主にすぎない関係であっても、少なからずその間に信頼が橋になってる。何よりモノを返す(返してもらう)ために必然とまた会う機会が約束されてる安心感がある。

 今日は高校の離任式だった。実質最後の登校日みたいな感じ。多くの友人とは離ればなれになるので、当たり前だけどこれから会う機会は滅多になくなる。今後一生会うことのない人もでてくるに違いない。僕は割とこういうのに悲しくなる人間だ。不安なので仲の良かった友人に「寂しいから東京に遊びにきてよ」というと「いいよ、誘ってくれればいつでも行くよ」と返してきた。優しいなと思うけど、どうしても社交辞令のように聞こえてしまう。いずれ誘っても迷惑がられるのでは、きっとあっちで別の友人を作って僕のことはどうでもよくなるのでは、とかなんとかかんとか。被害妄想癖。

 式が終わってから卒業式で渡せなかった花束を担任に渡すと純粋に喜んでくれた。嬉しい。その花束は前日に僕が立て替えて購入したものなのでクラスメイトからお金を徴収する。1人150円ずつだったけど、前もって言っておくのを忘れてたので、小銭がない人も何人かいた。なので代わりにカラオケの割引券や千円分の商品券(一体どこで使えるのかは分からない笑)を渡してきたりした。さっきの仲の良い友人も小銭がなかったらしく、

 「東京遊びに行くから、そんときに返すよ」と言う。

 やっぱり乙な友人だなと安心したし、たかだか150円の貸しなのにそれがとても価値のあるものに思えた。絶対に返してもらわないといけないな。